みなさん、こんにちは。サニービュー事業部の小寺です。
2つのローカルゾーン(パースとサンティエゴ)がGAになりましたね。
これらのローカルゾーンを使用して、1桁のミリ秒のレイテンシやローカルデータ処理を必要とするアプリケーションの提供ができるようになりました。

https://aws.amazon.com/jp/about-aws/whats-new/2023/01/general-availability-aws-local-zones-perth-santiago/

ローカルゾーンってご存じの方ももちろん多くいらっしゃると思うのですが、今更聞けないローカルゾーンとは?としてローカルゾーンについて解説してみます。

AWSのリージョン、アベイラビリティゾーン、ローカルゾーンについて

ローカルゾーンの前にリージョン、アベイラビリティゾーンの概念も復習します。

・リージョン
AWSの各リージョンは、他のリージョンと完全に分離されるように設計されています。よって、最大限の耐障害性と安定性が保証されています。
リージョンを選択した上で、リソースを表示すると、指定したリージョンに結び付けられているリソースのみが表示される仕組です。
リージョン同士が完全に分離されていて、リージョン間ではリソースが自動的にレプリケートされない仕様です。もちろん、クロスリージョンレプリケーションとしてレプリケートさせることは可能です。

さらに、リージョンによって使用できるサービスや費用が異なります。
日本では、「東京リージョン」「大阪リージョン」の2つがあります。

・アベイラビリティゾーン
アベイラビリティゾーン (AZ) とは、1 つの AWS リージョン内でそれぞれ切り離され、冗長的な電力源、ネットワーク、そして接続機能を備えている 1 つ以上のデータセンターのことです。
Availability Zoneの頭文字をとってAZと略されます。

AWSのネットワーク設定をするVPC(Virtual Private Cloud)のサブネット設定にて、AZを選ぶことができます。

・AZ間(AZ-1からAZ-2、など)の通信はすべて暗号化されています
・AZ同士は、数km~100kmに設置されるように決まっています
・システムを構築するときに1つのAZのみを選び、利用する構成を「シングルAZ構成」と呼びます
・システムを構築するときに、複数AZを選び、冗長化して、構築することを「マルチAZ構成」と呼びます

・ローカルゾーン
特定エリアに AWS がインフラを展開し、ユーザはAWSによって提供あれるインフラを利用する事ができるサービスです。
ローカルゾーンを使用することにより、特定のエリアからのリクエストに対して非常に低いレイテンシの実現ができます。
エンドユーザーやオンプレミスに設置された低レイテンシーを要求するアプリケーションをホストし、エッジロケーションとして機能を発揮します。
各ローカルゾーンは、一般的には、既存AWSデータセンターが存在しない人口密集地に近い場所に設置されます。またレイテンシーに敏感なアプリケーション向けに厳選されたサービス(コンピュート、ストレージ、データベースなど)が提供されています。

各ローカルゾーンは特定の親リージョンの「子」であり、そのリージョンのコントロールプレーンによって管理がされます。こちらから、どのローカルゾーンがどの親リージョンに対応しているのか確認できます。
さらに、ローカルゾーンには、APIエンドポイントとその親リージョンのコンソールからアクセスできるようになっています。

アベイラビリティゾーンとの違いとしては、ローカルゾーンは、独自の電力、冷却、ネットワーク接続といったAWSサービスのフルセットは提供されておらず、「ミニアベイラビリティゾーン」という考え方がマッチしています。

ローカルゾーンの歴史を振り返る

AWS re:Invent 2019 のキーノートにて新サービスとして AWS Local Zonesとして発表されました。発表当時は、ロサンゼルスのみでした。また米国内に拠点が限られていましたが、海外向けにも展開を進めることが、一昨年12月に発表されています。その当時の発表によると、26カ国、32の都市圏で新たにAWS Local Zonesを立ち上げる計画を発表しました。

今後2年間で、アムステルダム、アテネ、オークランド、バンコク、ベンガルール、ベルリン、ボゴタ、ブリスベン、ブリュッセル、ブエノスアイレス、チェンナイ、コペンハーゲン、デリー、ハノイ、ヘルシンキ、ヨハネスブルグ、コルカタ、リマ、リスボン、マニラ、ミュンヘン、ナイロビ、オスロ、パース、プラハ、ケレタロ、リオデジャネイロ、サンティアゴ、トロント、バンクーバー、ウィーン、ワルシャワに新しいローカルゾーンを立ち上げる予定とのことでした。
当時はどういうスケジュールでローンチされていくのかは、明らかになっていませんでした。

2023年1月の発表で、パースとサンティアゴで AWS Local Zones を立ち上げたことにより、現在は合計29 の Local Zones を展開しています。


内訳としては、米国外に 12 (バンコク、ブエノスアイレス、コペンハーゲン、デリー、ハンブルグ、ヘルシンキ、コルカタ、マスカット、パース、サンティアゴ、台北、ワルシャワ)、米国内に 17 です。

今後も、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、コロンビア、チェコ、ドイツ、ギリシャ、インド、ケニア、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ペルー、フィリピン、ポルトガル、南アフリカ、ベトナムの 20 か国 23 都市で Local Zones を立ち上げていく予定です。

ローカルゾーンでできること

AWS Local Zones を使うことで、以下のサービスが利用可能です。サービス自体は今後追加が予定されています。
・Amazon Elastic Compute Cloud
・Amazon Virtual Private Cloud
・Amazon Elastic Block Store
・Amazon FSx
・Amazon Elastic Load Balancing
・Amazon EMR
・Amazon ElastiCache
・Amazon Relational Database Service

さらに、オンデマンドキャパシティー予約を使用して、特定の Local Zone にある Amazon EC2 インスタンスのキャパシティーを予約することもできます。

ローカルゾーンへ接続してみた

いざ、ローカルゾーンへ接続してみます。
(1)とりあえず、オフィシャルのリンクからバンコク(タイ)を選んで「使用を開始する」をクリックします。

(2)表示は「無効」になっていました。

(3)管理メニューから「有効」にし、「ゾーングループを更新」をクリックします。

(4)「ゾーングループ」を一度有効にすると、無効化にはサポートに連絡が必要である旨のポップアップが表示されます。「有効化」を入力し、「OK」をクリックします。

(5)無事に更新されたようです。

(6)サブネットを選ぶときに、ローカルゾーンが追加できるようになるので、まずは追加します。

(7)EC2をローカルゾーン指定で起動してみます。・・・が起動がエラーになってしまいました。

(8)t2.microを選んでいたのが、原因のようで、バンコクでは「T3*、C5、R5、G4dn、および M5 インスタンス」のみ起動となっていました。

(9)t3系にして、無事に起動できました。

ローカルゾーン、Outpost、Wavelength Zonesの違いは?

歴史を振り返るに書きましたが、OutpostsのGAに続く形での発表でした。Wavelength Zonesも含めて、実際にどのような違いがあるのか、比較してみます。

AWS Outposts はレイテンシー要件があるためにオンプレミスのままにする必要があるワークロード向けに設計されています。ユーザーはそのワークロードを AWS の他のワークロードとシームレスに実行したいと考えます。AWS Outposts は AWS 設計のハードウェアで構築した完全マネージド型で設定可能なコンピューティングおよびストレージラックで、オンプレミスでコンピューティングとストレージを実行でき、クラウドで AWS の幅広いサービスにシームレスに接続します。
AWS Local Zones は、動画レンダリングやグラフィックを多用する仮想デスクトップアプリケーションなど、1 桁のミリ秒のレイテンシーが必要とされるワークロードを実行するために設計された、新しいタイプの AWS インフラストラクチャです。どのお客様も自社のオンプレミスデータセンターを運用したいと考えているわけではありませんが、ローカルデータセンターを完全になくしたいと考えるお客様もいるかもしれません。Local Zones を使用すれば、独自のデータセンターインフラストラクチャを所有および運用する必要なく、エンドユーザーにより近いコンピューティングリソースとストレージリソースを持つことから得られるあらゆる利点を享受することができます。
Wavelength は、AWS インフラストラクチャ、サービス、API、ツールを 5G ネットワークに拡張することにより、超低レイテンシーアプリケーションを 5G デバイスに提供できるように設計されています。Wavelength は通信プロバイダーの 5G ネットワーク内にストレージとコンピューティングを組み込んでいるため、開発者は IoT デバイス、ゲームストリーミング、自律走行車、ライブメディア制作など、1 桁のミリ秒のレイテンシーを必要とする 5G エンドユーザー向けの新型アプリケーションを構築できます。

https://aws.amazon.com/jp/about-aws/global-infrastructure/localzones/faqs/

・ローカゾーン
コンピューティングやストレージなどのリソースをエンドユーザーに近い複数の場所に配置できます。

・AWS Outposts
ネイティブの AWS のサービス、インフラストラクチャ、運用モデルをほぼすべてのデータセンター、コロケーションスペース、オンプレミスの施設で利用できます。

・Wavelength Zones
開発者は 5G デバイスやエンドユーザーに非常に低いレイテンシーを提供するアプリケーションを構築できます。Wavelength は、標準の AWS コンピューティングおよびストレージサービスを通信事業者の 5G ネットワークのエッジにデプロイできます。


まとめ

いかがでしたでしょうか。リージョン、AZについては皆さんよくご存じだと思いますが、今日はローカルゾーンについて触れてみました。何かの参考になれば幸いです。