みなさん、こんにちは。
今回は2月5日に発表された新しいコスト削減の仕組みである「Amazon CloudFront Security Savings Bundle」についてお伝えします。
■AWSの利用料金のパターン
AWSの一般的な課金方法は「従量課金制」とよばれ、利用した時間単位で課金される仕組みです。その他には、リザーブドインスタンスやSavings Plansと呼ばれる仕組みがあります。
・リザーブドインスタンス(Reserved Instance)
リザーブドインスタンスは予め1年か3年の利用をコミットする前提で、その分時間単価が安く利用でき、割引を受けられる課金方式です。いわゆる長期割引のような制度です。
リザーブドインスタンスは本コラムでも触れていますので、ぜひご一読ください。https://www.sunnycloud.jp/column/20201222-01/
・Savings Plans
Savings Plansは、1年または3年の間、一定量の利用料金(時間当たりの金額で計算)をコミットすることで、ディスカウントを得られる柔軟で新しい料金プランです。
■Amazon CloudFront Security Savings Bundleとは
1年間、月間最低使用料をコミットする前提で、CloudFront の請求額を最大 30% 節約できる柔軟なセルフサービスです。
https://aws.amazon.com/jp/about-aws/whats-new/2021/02/introducing-amazon-cloudfront-security-savings-bundle/
Amazon CloudFront Security Savings Bundleは、CloudFront向けのSavings Plansといってよいサービスです。
1年間にわたり12回(12カ月の1カ月毎)の請求期間それぞれで、AWS利用料にクレジットが適用されます。コミットした最低利用料に達していない場合は、翌月にクレジットを繰り越しできないので注意が必要です。
※クレジット自体は自動適用されるため、「AWS Billing」の「クレジット」画面より毎回コードの入力は不要です。
CloudFront クレジットの他に(CloudFront にアタッチされている) AWS WAF を利用するためにクレジットが取得できます。AWS WAFのディスカウントについては「コミット額の10%」です。AWS WAFの利用金額がディスカウント金額に達していない場合は、クレジットの権利は消失します。
利用期間は、リザーブドインスタンスやSavings Plansと異なり、3年間のプランはありません。また、支払い方法は毎月支払い(前払いなし)のみが利用できます。
■実際にどの位安くなるの?
Amazon CloudFront Security Savings Bundleを利用することで、どの位利用料金が削減できるかを試算してみます。CloudFrontの月額利用料が約$1,000だった場合に、月額$700の利用をコミットします。クレジットが提供されることによる最大のコスト削減金額は$1,000×0.3となり、$300です。AWS WAFはコミット金額の10%のため、最大で$70が削減できます。
サービス | 月額コミット額 | 月額利用料 | コスト削減額 |
CloudFront | $700 | $1,000 | $300(最大) |
WAF | – | – | $70(最大) |
■AWSクレジットとは
そもそも割引について、クレジットで提供されるとはどういうことでしょうか。AWSクレジットの仕組みについて、解説します。
AWS クレジットは、対象サービスに関連するコストを賄うため、請求に適用されます。
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/awsaccountbilling/latest/aboutv2/useconsolidatedbilling-credits.html
AWSクレジットは、クーポン券と同じイメージです。例えば、1万円分のクーポン券をもっていたとします。料金を支払うときに、クーポンコードを入力すると、トータルの利用料金からクーポン券の1万円がマイナスされることになります。なので、トータル料金が1万円以下の場合は、その月の請求金額は0USDです。
■購入するには
(1)購入するには、AWSマネジメントコンソールより、CloudFrontサービスへ移動します。左ペインのメニューより「Savings Bundle:Overview」をクリックし、「Get Started」ボタンをクリックします。
(2)「Recommendations and Estimated Savings」画面では、2つのメニューがあります。
・Historical Usage:今までの利用料から推奨のコミット金額や削減金額見積もりが確認できます。
・Calculator:リージョン毎の通信量を入力し、削減金額の見積もりが確認できます。
(3)「Bundle options」画面では、(2)で確認したコミット金額を入力します。
また1年後の自動更新をするかどうかを選ぶことができます。
(4)「Review and purchase」画面では、最後に削減金額や毎月のコミット金額を確認して、購入を行います。
■組織内でのクレジット共有はどうすればいい?
複数のAWSアカウントを管理アカウント(マスタアカウント)を管理されている場合、どのようにこのCloudFrontのコスト削減プランを組織内で共有すれば良いでしょうか。「Billingの設定」から「クレジット共有設定」を有効にしている場合は、組織内のアカウントへ共有されます。
まずは、管理アカウント(マスタアカウント)のCloudFront利用料へクレジットの適用がされ、次にメンバーアカウントで利用した CloudFront料金に適用がされます。他のコスト削減サービスである「RI と Savings Plans の割引共有」ではないことに注意が必要です。AWSクレジットの共有方法はこちらでご確認いただけます。
■利用いただく際の注意事項
今までお伝えしたものも含め、利用いただく際の注意事項をまとめてみました。
・クレジットは請求期間(月単位)ごとにAWSの請求に自動適用されます。
翌月に繰り越しができません。
・AWS WAFのディカウントが受けられるのは、CloudFrontにアタッチされたWAFの利用料に対してのみです。
Elastic Load Balancerのアタッチは適用対象外です。
・CloudFrontとWAFがクレジットの使用量を超えた場合、オンデマンド価格として請求されます。
・組織の他のAWSアカウントと共有したい場合、「クレジット共有設定」を有効にする必要があります。
■まとめ
いかがでしたでしょうか。
AWSの構築や移行を検討されている等、AWSに関連するお問い合わせは、SunnyCloudまでお願いします。
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