みなさんはリザーブドインスタンスについて、ご存じでしょうか。
AWSインスタンスの一般的な課金方法は「オンデマンドインスタンス」と言われる、利用した時間単位で課金される仕組みです。「リザーブドインスタンス」は予め1年か3年の利用を確約する前提で、その分時間単価が安く利用でき、割引を受けられる課金方式です。いわゆる長期割引のような制度です。
しかし、リザーブドインスタンスでは割引が受けられるとわかっているものの、料金体系が複雑に感じられるため、導入を見送るケースもあります。今回は、AWSのリザーブドインスタンスとは何かをお伝えします。
AWSリザーブドインスタンス(RI)とは
AWSリザーブドインスタンス(RI)とは、一定期間継続して利用することを前提に、大幅な割引を受けられるサービスのことです。
特定のインスタンスを割引するものではなく、インスタンスのスペックなどを指定することでその指定にマッチするインスタンスに自動的に割引が適用されます。例えばEC2サービスで「t3.small 1台分の枠を1年間予約する」という形になります。1年または3年で予約する形となり、年数に応じて割引率が設定されるシステムです。なお割引率は、インスタンスの種類(OS、インスタンスファミリー)や支払い方法に応じて変わってきます。
- リザーブドインスタンス:Amazon EC2 /Amazon RDS /Amazon ElasticSearch Service
- リザーブドキャッシュノード:Amazon ElastiCache
- リザーブドキャパシティ:AmazonDynamoDB
- リザーブドノード:Amazon Redshift
以降は、主にAmazon EC2のリザーブドインスタンスを中心に解説を行なっていきます。
Amazon EC2のリザーブドインスタンスの種類
よく利用されるAmazon EC2のリザーブドインスタンスには、以下の2種類があります。RDSのリザーブドインスタンスはスタンダードのみです。
- スタンダード
スタンダードでは、別のインスタンスファミリーに変更することができません。最大でオンデマンド料金の72%の割引が受けられます。 - コンバーティブル
コンバーティブルでは、作成時の価格と同等以上のものであれば、コンバーティブル RI は、別のコンバーティブル RI との交換が可能です。
交換元のコンバーティブルインスタンス1時間あたりの価格より交換先のインスタンスの1時あたりの価格が低い場合は、交換する台数が増えてしまいますが、交換作業自体を行うことは可能です。
ただし、購入したRIと同じリージョンでしか変更ができません。コンバーティブルインスタンスには、「変更」、「交換」、「分割」、「結合」それぞれに条件がありますので注意が必要です。最大でオンデマンド料金の 54% 割引が受けられます。
AWSリザーブドインスタンスの特徴について
リザーブドインスタンスは利用料が割引になるお得なサービスですが、契約期間が長い分購入したインスタンスを使わなくなっても課金されるというリスクもあります。どのように活用すればリスクを少なく、割引を活用してコスト削減が可能でしょうか。
RIの概念は”購入したインスタンスサイズの利用権”です。「t3.largeの利用権」を購入すると、アカウント内にt3.largeインスタンスが存在すれば自動的に割引されます。インスタンスの再作成を行い、インスタンスIDが変わってしまった場合でも、購入したRIの条件にマッチすれば、割引が適用されます。
■大幅に割引が受けられる
AWSリザーブドインスタンスは、オンデマンドインスタンスと比較した場合、スタンダードタイプなら、最大で72%の割引を受けることが可能です。例えば、スタンダードで1年前払いなしの場合でも、東京リージョンでt3.smallのLinuxインスタンスを利用した場合、オンデマンドと比較して37%の削減が可能なため、少ないリスクでコスト削減が可能になります。
■3種類の支払いパターンあり
支払いパターンは、「全額前払い」、「一部前払い」、「前払いなし」の3パターンがあります。割引率は、全額前払い、一部前払い、前払いなしの順番に低くなっています。全額前払いは、購入期間の1年または3年分を購入した月に一括で支払う方法です。一部前払いは、購入費用の約半分の金額を前払いし、残りの金額を毎月支払う方法です。
■購入は1年または3年
購入してお使いいただく期間は、1年もしくは3年のどちらかです。3年間の場合、1年間よりも多くの割引が受けられます。購入後はキャンセルができませんので、3年を選択される場合には当該インスタンスの長期的な利用計画も確認、検討しておく必要があります。はじめて利用する場合にはまずは、1年契約での利用リスクが少なくて、お勧めです。
リザーブドインスタンスを購入する際の注意事項
AWSリザーブドインスタンスを購入する場合、2つの注意点があります。
(1)課金は毎月、定額で発生
従来の従量課金ではなく、定額で課金が発生します。※年間一括払いを選択いただいた場合は、初月に一括でお支払いが発生します。インスタンスが停止している場合でも、契約期間中は料金が請求されます。
例えば、開発環境で夜間、休日は停止している場合、起動時間を確認の上、購入対象とするか検討が必要です。
(2)柔軟な運用が難しい
インスタンスタイプを指定して購入するため、指定範囲外のタイプへのスペックなどの変更ができなくなります。
なお指定には、リージョン、インスタンスファミリー、インスタンスタイプ、テナンシー、OS、アベイラビリティーゾーンが含まれます。これらを指定して購入するため、他のインスタンスやリージョンに対してAWSリザーブドインスタンスを適用したい場合、新規に購入する必要があります。
※ただし、EC2及びRDSにはサイズ柔軟性が適用されるインスタンスがあります。EC2の場合、LinuxのOSであれば、サイズ柔軟性といって、同じインスタンスファミリーで同じリージョン内であれば、インスタンスのサイズに応じて係数が設定され、割引を受けることが可能です。
https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/new-instance-size-flexibility-for-ec2-reserved-instances/
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