第3回ではAWS移行プロジェクトを進めるポイントを解説しました。今回は、AWSへの移行を成功させるポイントをお伝えします。

AWSへの移行を成功させるポイント


ここでは、AWSへの移行を成功させるためのポイントを2つ紹介します。

(1)事前調査をしっかりと行う
まずは「事前調査をしっかりと行う」ことが大切です。特に初めてAWSに移行を行う場合は、尚更、事前調査をしっかりと行うことが必要です。
冒頭にも述べた通り、AWSには175のサービスが存在します。また、AWS特有の前提条件が必要となる場合もあります。このため、AWSの各種サービスの特徴を理解し、自社のシステムに最適な組み合わせを調査する必要があります。また、サービスの利用料金に対する調査は重要です。サービスの利用料金は従量課金のため、想定以上に使用量が多いと即課金につながります。場合によっては現行システムのランニングコストよりも高い課金になる可能性もあります。このため、サービス利用料金については、事前に綿密に試算を行いましょう。

一方、移行元のシステムに対しても、事前に調査することが必要です。なぜなら、システム担当者が全てのシステム仕様やデータ構造を理解していることは稀であり、ドキュメントが不完全な場合が多いからです。このため、いざ移行プロジェクトを開始した時に、システム担当者も知らない仕様やデータ構造が発覚する可能性があります。特に稼働時期が古く、多くの担当者が引き継いでいるシステムの場合は注意が必要です。なぜなら、ドキュメントに書かれていない、システム担当者に引き継がれていない仕様やデータ構造が存在する可能性があるからです。このため、AWSへの移行中に思わぬトラブルを招かないためにも、移行元システムの調査をしっかりと行いましょう。

(2)AWS移行プロジェクト計画をしっかりと立てる
これはAWSへの移行に限った話ではありませんが、事前に移行プロジェクト計画をしっかりと立てることが大切です。なお、移行方式には主に3つの方法があります。
 一括移行方式
 段階移行方式
 並行運用方式

「一括移行方式」は、AWSへの移行完了時に現行システムを停止し、全ての機能をAWSに切り替える方式です。現行システムとのデータ連携を考慮する必要がなく、移行コストを最小限に抑えたい場合に向いています。その一方で、一気にAWSに切り替えるために、移行自体のリスクは大きくなります。

「段階移行方式」は、機能単位などで移行する単位を決め、段階的にAWSへ移行する方式です。AWSへの移行が完了するまでは、ある機能はAWSで稼働し、残りの機能は現行システムで稼働する状態となります。このため、AWSと現行システムとの間でデータ連携が必要となるケースがほとんどです。一括移行方式に比べ、AWSへの移行工数がかかります。AWSに一気に移行することが難しい場合、用いられる方法です。

「並行運用方式」は、AWSと現行システムを並行運用しながら結果を検証し、段階的に移行する方式です。そして、AWSでの検証後、問題ないと判断した時点で現行システムを停止します。3つの方法の中で最もリスクの少ない方法です。その一方で、AWSと現行システムの両方にデータ入力が発生するなど、運用負荷が高くなります。このため、現場の協力が不可欠です。

どの方式を用いるにせよ、計画が曖昧だと、移行段階で思わぬトラブルを招きかねません。特に移行プロジェクトの計画で注意したいのが「作業計画漏れ」と「甘い作業見積もり」です。作業計画に漏れが発生すると、それをリカバリーするためには計画以上に追加の工数が必要です。また、作業見積もりが甘いと進捗遅れの発生につながります。

とはいえ、移行プロジェクトの計画を立てることは一筋縄ではいきません。特に初めてAWSに移行を行う場合は尚更です。なぜなら、移行元のシステムの内容はもちろん、移行先となるAWSのアーキテクチャや機能も熟知しておかなければならないからです。
このため、カギを握るのは、やはり「事前調査」です。先にも述べた通り、事前調査をしっかりと行うことがAWS移行成功への第一歩となります。そして、事前調査の結果を踏まえ、それを移行プロジェクト計画書に反映し、しっかりとした計画を立てましょう。これにより、移行リスクを低減させることができます。

まとめ


AWSへの移行を全て自社で行うことが難しい場合、AWSを専門とするシステム会社を活用することも1つの方法です。様々な企業があるので、初めてAWSにシステム移行を行う場合は、AWSへの移行に詳しい独立系クラウドインテグレーターを利用することをおすすめします。
自社のリソースのみでAWSへの移行を行えば、確かにコスト面では低く抑えることができます。しかし、AWSへの知見が不十分なために、また、AWSへの移行経験が不足しているがゆえに、想定外のトラブルが発生するとも限りません。最悪の場合、トラブルが長期化することで移行スケジュールが遅延し、AWSでの稼働が延期となるリスクもあります。

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デジタルトランスフォーメーション(DX)で業務やビジネスの変革が求められるなか、AWSを活用する事も企業の選択肢です。現在では業種や企業規模を問わずデジタルビジネス展開する上でも欠かせないプラットフォームとなっています。
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